日本を筆頭に、先進国では高齢化の進行が止まらない。国際連合の推計では、現役世代1人が支える高齢者の数を表す「老年従属人口指数」(65歳以上と20〜64歳の人口比)は、2050年に先進国の多くで、0.5を超えると予想されている。

日本に至っては0.85を超え、ほとんど現役世代1人が高齢者1人を支えなければいけない状況に陥るおそれがある。

高齢化の進行における主要な問題は、年金財政の悪化である。もし現在の年金制度を維持し続ければ、高齢者の年金を賄うために相当な歳入が必要となり、現役世代には大きな負担がのしかかる。

この負担を軽減するには、どうすればよいのか。多くの研究は、年金受給開始年齢の引き上げといった年金制度の改革を提案する。しかし本稿ではそうした従来の議論から離れ、「高齢労働者」の活躍に焦点を当てて、年金問題解決の糸口を探っていきたい。

まず、米国経済の例から見てみよう。米国では高齢者の就業率が、ここ30年間を通して少しずつ増加し続けている。筆者は、米国内のミクロデータを用いて、1985年から2015年の間に、66歳から80歳までの高齢者の就業率がどう変化したのかを追った。