「あのときは冷や汗ものだった」と語るのは中堅住宅ビルダーの都内支店長。3月は1年の中で最も住宅の引き渡しが集中する繁忙期だ。そこに新型コロナウイルスの影響が直撃した。

大手住宅設備メーカーでは2月中旬から一部資材の調達に遅れが生じ始めた。中国の協力会社からの供給が滞ったのだ。TOTOの温水洗浄便座「ウォシュレット」や便器、パナソニックのシステムキッチン向けIHクッキングヒーターや食器洗い乾燥機などが調達できず、住宅を引き渡すタイミングに混乱が生じた。

冒頭の会社でも仕入れに遅延が発生。支店ごとに「A邸はキッチン、B邸はトイレ」と足りなくなりそうな住宅設備をリストアップし、優先順位をつけてやり繰りして、何とか乗り切った。「当社の取引量が多いので流通業者も気を使って商品をまわしてくれたようだ」と支店長は胸をなで下ろす。

コロナ禍の影響が色濃く表れた住宅設備業界。各社は生産面でどの程度の影響を受けたか公表していない。ただ経済産業省の生産動態統計によれば、住宅設備の国内出荷台数は2月に温水洗浄便座が前年同月比約16%減、3月には大便器やキッチンが同約15%減と大きく落ち込んだ。その後、供給が改善し、温水洗浄便座と大便器は4月になるとプラスに転換。キッチンも4月には5%減とやや改善している。

サプライチェーンだけではない。住宅設備各社は4月上旬の政府の緊急事態宣言を受けてショールームを軒並み閉鎖。生産、営業の両面で影響を受けている。