「地域価値創造会社に生まれ変わる」と話す山口フィナンシャルグループの吉村猛会長兼CEO。吉村氏は1960年生まれ。1983年東京大学卒業後、山口銀行入行。2016年に山口フィナンシャルグループ社長。2020年6月より現職(写真:山口フィナンシャルグループ)
緊急事態宣言後、金融機関は企業の資金繰り支援に奔走している。しかし、金融機関に求められるのは単なる融資だけではない。コロナ禍をどう乗り切るか、乗り切った後にどう業績を回復させるか、といった企業の課題に対するコンサルティング力も求められる。
その中で、銀行界でも注目されるユニークな取り組みをしているのが、資産規模10兆円を誇る大手地銀の山口フィナンシャルグループ(FG)だ。同FGは傘下に山口、もみじ、北九州の3銀行を持ち、「地方創生」への取り組みで銀行界でも注目される存在だ。近年は地域商社やITコンサルティング、人材紹介といった機能を整備してきた。
人口が減少し、経済が縮小していく地方にあって、地元企業をどのように活性化させ、地銀として支援していくのか。2020年6月に会長兼CEOに就任した山口FGの吉村猛氏に聞いた。
注)本記事は週刊東洋経済7月11日号「銀行 地殻変動」特集のインタビュー(43ページ)の拡大版です。

過去からやってきたことがコロナで活きた

──新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各金融機関とも取引先への資金繰り支援を行っています。

5月末時点で融資件数は傘下3銀行(山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行)を合わせて約3000件。融資(の実行額)は1500億円程度だ。傘下3銀行が営業エリアとする山口、広島、福岡各県のどの地域でも同じくらいの資金の需要があり、6月以降もペースは衰えていない。

資金供給について言えば、今後は通常の融資と比べて返済の優先順位が低い、資本性の資金が必要になるのではないかと考えている。(山口FGでは)コロナウイルス対策の支援ファンドを5月に立ち上げ、(融資と出資の中間にあたる)メザニンの分野では資本性劣後ローンも始めた。顧客のニーズを概ねカバーできるような体制を構築している。

──地元の商品を地域内外に売り込む地域商社をはじめ、地方創生に関わる取り組みを続けてきました。

顧客は資金供給以外にも、売り上げの落ち込みにどう対応するかという課題を抱えている。融資をする際にコンサルティングをして、将来の計画を立てながら融資をしている。それ以外にも、子会社のメディア「やまぐちDelico」を使って、テイクアウトを始めた飲食店の情報を紹介しており、大体100社程度が掲載されている。

今は情報発信のみだが、今後も第2波、第3波と影響が続くようであれば、サイトから予約をしたりという予約できるような機能も考えていきたい。システム費用はかかるが、地元のお役に立てるならコストはかけていく。