横浜銀行の大矢恭好頭取は「資金繰り支援はほんの第一歩にすぎない」と強調する(記者撮影)
新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた企業を支えるべく、地銀各行は積極的な資金繰り支援を実施している。一方で、融資先の業績悪化による与信コストの増加も懸念される。
地銀大手・横浜銀行も地盤である神奈川県の事業者を中心に幅広い支援を行っている。足元の状況や今後の支援策はどうなっているのか。そして、コロナ影響の長期化による貸し出しの不良債権化リスクについてどう考えているのか。6月に全国地方銀行協会会長にも就任した大矢恭好頭取を直撃した。
注)本記事は週刊東洋経済7月11日号「銀行 地殻変動」特集のインタビュー(43ページ)の拡大版です。

最優先したのは「迅速さ」

──新型コロナウイルスが猛威を振るい、企業活動にも大きな影響を与えています。

影響は甚大だ。飲食店などは緊急事態宣言後の営業自粛で大きな影響を受けている。神奈川県には箱根のような観光・宿泊業の町も多く、需要が消失し、資金繰りへの影響が大きかった。

そのため、とにかく「迅速さ」を最優先した。平時であれば「こういう資料を作ってください」「これについて説明をしてください」といった細かい手続きがあって、「これがないと審査ができません」などと言わざるをえないケースもあったが、今回は審査書類などがすべて整っていなくても、事情を聴いて大丈夫だと判断すれば融資させていただいている。

また、幅広い業界が影響を受けたため、小さな事業者や飲食店などを中心に、これまで横浜銀行とお付き合いがない方々が多かったのも特徴だ。そのため、銀行取引に慣れておらず手間取られた方も多かったが、必要書類のそろえ方や書類の書き方まで、丁寧かつ迅速にお手伝いしながらご対応させていただいた。クレームやご意見は即日、私を含めた役員全員にメールで届くようになっているが、今のところ「融資が順調に出ない」といった声は上がってきておらずホッとしている。

「地元の皆さんの力になれる活躍の場を与えてもらえてうれしい」と、行員たちの士気も上がっている。

──ひとまず直後の資金繰り支援は順調なようですが、企業が再建できるか否かで重要なのはその次の段階です。

その通りだ。資金繰り支援はほんの第一歩にすぎない。銀行に求められていることは、今後、お客様がキャッシュフローをちゃんと出せるよう、しっかりとお手伝いしていくこと。お客様が不幸にならないように、そして地元経済が復活できるようにお手伝いしなければならない。