高炉に負けない品質で自動車向けを拡大する意欲を示した西本社長
日本の鉄鋼業界ではメインプレーヤーである鉄鉱石から鉄を作り出す高炉メーカーの経営が危機を迎えている。コロナ前から世界の鉄鋼需要が落ち込んでいるにもかかわらず、中国の生産拡大で原材料が高止まりする、「市況安・原料高」に苦しんでいるからだ。コロナ禍で鉄鋼需要がさらに縮小し、日本製鉄やJEFホールディングスは国内生産体制の縮小を余儀なくされている。
一方、電気炉でスクラップを溶かして鉄を作り出す電炉メーカーは、原料のスクラップ市況が鉄鋼製品市況以上に低下しており、利益を確保できている。この先の電炉業界の展望をどう見据えているのか。独立系で国内電炉トップ、東京製鉄の西本利一社長に聞いた。

 

──市況動向もあり、高炉不利、電炉有利となっています。こうした構図は定着するのでしょうか。

電炉有利ではない。むしろこれまでは電炉不利の時代が長かった。

2000年代中頃の中国バブル(中国需要の爆発的な増加)の初期は良かったが、後半は電炉が不利になった。スクラップが高く、高炉の原料(鉄鉱石や原料炭)が安かった。2010年前後にアジアで多くの電炉が立ち上がったが、ほとんど休止に追い込まれた。当社が孤軍奮闘しているくらいだ。

一方、世界に目を向けるとアメリカはすでに(鉄鋼生産における)電炉の比率が70%近い。ニューコア、スチールダイナミクス、ビッグ・リバー・スチールといろんな会社がある。

こうした電炉会社の躍進は鋼板に進出したことだ。電炉といえば棒鋼だったところから、(建築、土木に使う)H形鋼、さらに鋼板を作った。日本もそうならざるをえない。

──しかし、日本は電炉比率が20%台。依然として高炉中心です。