那須町は栃木県の北部にある面積372.3平方キロメートル、人口約2万5000人の街だ。東京から約170キロメートル、県庁所在地の宇都宮市からは約60キロメートルの所に位置し、北と東で福島県と接する。

那須は、とくに関東地方の人々には「観光地」として名が知られる。街の北西部、那須連山の主峰・茶臼岳の南側には、標高千数百メートルの高地から、街の中心部を貫くJR東北新幹線、東北本線、東北縦貫自動車道が通る標高約300メートルの地域付近にかけて、緩やかな斜面が広がる。この地域は那須高原と呼ばれ、温泉郷として、また別荘地として数多くの観光客を引き寄せてきた。1926(大正15)年に那須御用邸が建てられたことも、この地を有名にした。

那須連山と、6月に見頃を迎える那須フラワーワールドのルピナス。四季折々の花を楽しめるのも那須高原の魅力だ(PIXTA)

那須が観光地としてピークを迎えたのが平成初期である。96(平成8)年の観光入込客数は年間547万人、97年の宿泊施設利用者数は223万人に達したが、その後は減少に転じる。バブル経済崩壊後、多くの企業が寮、保養所を閉鎖。修学旅行や団体旅行、スポーツ合宿での利用を中心にしていたホテルや旅館は、個人客に対応するための転換に出遅れ、主に個人客を迎えてきたペンションもオーナーの高齢化などでその数を減らしていった。