新型コロナウイルスによるインバウンド消滅や外出自粛によって、雇用に深刻なダメージが生じている。各業界の現場では何が起きているのか。

1 自動車|非正規の雇用維持が課題

コロナ禍による世界的な需要減に苦しむ自動車産業。国内生産も影響を受けており、4月以降、全乗用車メーカーが輸出車を中心に生産調整を余儀なくされている。

トヨタ自動車は国内15工場で6月の毎週金曜日を非稼働とし、7工場の計10ラインではさらに2~7日間稼働を停止する。3工場の計5ラインでは最長で8月まで夜勤を取りやめる。4~6月の減産規模は25万台を超える。

国内生産の8割超を輸出するマツダは国内全工場において6月は昼勤のみの稼働とする。4~6月の生産台数は8.1万台と昨年同期より7割強も減る。減産規模はすでにリーマンショック時以上だ。

日本の自動車業界にはリーマンショック時の「派遣切り」で批判を受けた苦い記憶がある。日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ社長)は、「工場が稼働できないからといってすぐに『派遣切り』などを行うとコロナ収束後の復活にも時間がかかる。ぜひとも雇用は守っていきたい」と訴える。

トヨタは非正規を含めて雇用を維持する方針だ。休業期間中の派遣社員に対しては、6割以上の賃金を補償する休業手当の原資を派遣会社に支払ったうえで、「派遣会社から契約更新の希望があればすべて応じている」(広報)という。

マツダは休業となる夜勤の従業員には、雇用調整助成金を活用し賃金額の90%相当を支払う。他メーカーも雇用維持に重きを置く。

自動車産業は裾野が広いだけにコロナ危機が長期化すれば雇用への影響も甚大だ

下請けでは派遣切りも