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ポストコロナの消費刺激策、「デジタルクーポン」の効果 公平性のある経済対策につながるか

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低迷が続くサービス業へのテコ入れが急務に。写真は6月6日に北京で開かれた消費振興イベント(AP/アフロ)

5月28日に閉幕した全国人民代表大会(国会に相当)では、経済成長率の年間目標が設定されなかった。李克強首相は政府活動報告の中で「われわれの発展が予測不可能な要因に直面しているため」と説明した。一方で財政赤字の対GDP(国内総生産)比率が3.6%以上になることを許容し、新型コロナウイルス感染対策と雇用対策を重視する方針が示された。

ここで考えてみたいのは地方政府の動きである。世界金融危機のときも、結局は地方での政策実施過程で資金が不足し、借り入れに頼った公共事業が動き始めた。年間成長目標の下で、地方幹部は経済指標を中心に考査を受けた。だから成長を求めて過剰投資が生まれやすかった。

成長率目標を設定しないことで、今年の人事考査は防疫対策、雇用創出と失業率を中心になされると考えられる。無理な投資や、統計の水増しの問題を避けられるだろうか。四川省、雲南省といった、新型コロナが収まってから人民代表大会を開催した地域では、地域の成長目標について「全国平均よりは上を目指す」と設定されている。全地域が「平均より上」を目指した競争を続ける可能性もある。

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