「子どもに経営権を承継しない」。韓国を代表する財閥・サムスングループのトップ、李在鎔(イジェヨン)副会長が5月6日にこう発言したことが、韓国社会に大きな波紋を広げている。

李副会長は2014年に病に倒れた李健煕(イゴンヒ)会長から実質的に経営権を承継した。創業一族の3代目経営者で、1男1女がいる。これまでのサムスンからすれば、将来的に自分の子どもが4代目経営者となるのは当然の成り行きだ。その発言の背景と真意は何か。

この発言は「国民向け謝罪」と称する記者会見の場で飛び出した。では、なぜ李副会長は謝罪をしなければならなかったのか。それは、まず自らがサムスングループの経営権を承継する過程で生じた不祥事に関して、そしてもう1つは、グループ内での労働組合の存在を許してこなかったことを詫びるためだった。

大韓民国建国以来、韓国経済をリードしたのは財閥だ。「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ばれる経済成長を成し遂げ、OECD(経済協力開発機構)入りする先進国の地位に到達できたのは、財閥なしにはまったく考えられない。下表を見てほしい。そんな財閥の多くが、創業一族が代々継いで現在も経営を行っている。多くの財閥は、李副会長のような3代目、あるいは4代目経営者の時代を迎えている。

一方で、経営権が承継される過程で疑惑や不祥事を生み出してきた。とくにサムスンはトップ財閥であるだけに政治との関係も深く、その点において少なくない不祥事や問題を発生させてきた。今回、李副会長が謝罪に追い込まれたのは、16年に発覚した当時の朴槿恵(パククネ)大統領の知人らによる「国政不正介入事件」のためだ。