コロナショックによる影響は、伝統的な製造業の事業モデルである「ハード単品売り」の比率が高く、デジタル化が進んでいない企業ほど大きい。というのも、自動車や家電などの耐久消費財は、一般的に不況に弱い。先のリーマンショックを振り返っても、真っ先に需要が冷え込んだのは耐久消費財とその材料・部品、設備投資だった。人々が「コロナの終息」を実感できない限り、消費は冷え込むだろう。

とやま・かずひこ 1960年生まれ。東京大学法学部卒。米スタンフォード大学経営学修士(MBA)。産業再生機構COOとしてカネボウなど再建。2007年にIGPI設立。パナソニック社外取締役。近著に『コロナショック・サバイバル』(文芸春秋)。(撮影:尾形文繁)

リーマンショックの前後には、テレビやパソコンといった「黒物家電」における日本企業の敗北が完全に決定づけられた。もはやテレビは、動画コンテンツの表示装置にすぎず、消費者はハードに付加価値を見いだしていない。

一方、製造過程でアナログ技術がものをいう「白物家電」は、単品モデルがかろうじて機能してきた領域だった。だが、コロナをきっかけに製品やサービスのデジタル化が加速度的に進む。例えば、エアコンというハードが提供してきた「室内の空気を調整する」という価値を直接訴えかける別のビジネスモデルが登場すれば、消費者は高性能なエアコンよりもこれに飛びつくだろう。今、世界中の起業家たちが虎視眈々とこのチャンスを狙っている。

デジタル変革を急げ

つまり、今回のコロナで何も手を打たなければ、今度は冷蔵庫や洗濯機などの白物家電も黒物家電と同じ道をたどるかもしれない。家電以外では、産業機器などにも同様のことがいえる。コロナショックの前後で、こうした単品販売モデルの崩壊スピードが加速する可能性がある。