今年1月に披露した電気自動車「VISION-S」。市販はしないが、技術力をアピールした(AFP/アフロ)
週刊東洋経済 2020年6/20号
書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

この10年余りで構造改革を成し遂げ、大手電機メーカー8社中、収益力で頭一つ抜けたのがソニーだ。2020年3月期の営業利益は過去2番目の高水準となる8454億円、営業利益率は10%を超える。

変貌したソニーが今年5月、2つの手を打ってきた。

1つは生命保険や銀行などを展開する上場子会社、ソニーフィナンシャルホールディングスの完全子会社化だ。約4000億円を投じ、約65%の持ち株比率を100%に引き上げる。

ソニー全体に占める金融の利益貢献はそれほど大きくはないが、景気など外部環境に左右されにくく、毎年1000億円以上の営業利益を安定的に稼ぎ出す。完全子会社化することで、ソニー以外の株主への利益流出がなくなり、税の軽減効果も含めて、当期純利益を年間400億~500億円押し上げる効果があるという。

「金融はエレクトロニクス(以下、エレキ)、エンターテインメントと並ぶコア事業。長期視点で成長領域と位置づけている」。5月19日の経営方針説明会で、吉田憲一郎社長はそう説明した。

もう1つは約60年ぶりの社名変更だ。来年4月から「ソニーグループ」に変更し、「ソニー」の名前はエレキ子会社が引き継ぐ。

ソニーのグループ構成は、映画や音楽、ゲーム、金融などが本社の下にぶら下がる一方、エレキのみが本社と一体化する形になっていた。それを整理し、エレキがほかの事業と並列の位置づけになる。ソニーグループは本社機能だけになり、グループ全体の経営に専念する。

端的にいえば、エレキの“格下げ”だ。ソニー全体の売上高に占めるエレキの割合は今や4分の1(20年3月期)にすぎない。セグメント別営業利益では下から2番目であり、実態に合った形にする。ただし、社名を「ソニー」とすることで、祖業のプライドは尊重されたといえる。

成熟市場のエレキ