にいなみ・たけし 1959年、神奈川県出身、県立横浜翠嵐高校、慶応大学卒業。81年三菱商事入社。91年米ハーバード大学経営大学院修了。2002年ローソン社長、14年会長を経て同年10月、サントリーホールディングスの社長に就任。(撮影:尾形文繁)

コロナ終息後、日本の産業、雇用、そして消費動向はどのように変化していくのか。総合商社出身で、サントリーホールディングス(HD)の社長としてグローバル事業を推進している新浪剛史氏に話を聞いた。

──これから1年、日本社会にはどのような変化が起こりますか。

あらゆる分野で、デジタル化が確実に進む。例えば教育の分野ではデジタル技術を用いたeラーニングが進展するだろう。そうなると、地域や学校による制限を超えて、いいコンテンツで学習できるようになり、教育格差の是正が期待できる。医療の分野でもオンライン診療が進めば、何かあったときにすぐ診察を受けることができ、より安心・安全な社会になる。あるいはテレワークが定着すれば、東京に過度に人が集まる一極集中を抜け出すことができるかもしれない。地域にスマートシティーが形成され、新たな需要や雇用が生まれる可能性もある。

コロナ後の1年は、デフレがいっそう進むことも考えられる。その中で、生活に困る人を支援する仕組みづくりが重要になる。世帯ベースではなく個人に生活保障をするように、政府の仕組みを整えるべきだ。また、運輸、宿泊や飲食などのサービス産業はたいへん厳しい状況になるだろう。来年の東京五輪開催まで、縮小する経済への対策が必要だ。

──確かに足元でも、消費者の低価格志向が顕著になっています。