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最後の総督が吐露「世界よ、香港を傍観するなかれ」 世界は現在の中国の政権を到底信用できない

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5月28日、全人代で香港への国家安全法導入が決まった。写真は賛成票を投じる習近平国家主席(写真:REUTERS/Carlos Garcia Rawlins)

1997年6月30日、イギリス王室御用達のヨットで香港を去る数時間前、香港総督としての最後の演説の中で、私は「今、香港人が香港を統治するのだ。それが約束だ。そして、それは揺るぎない運命である」と述べた。

その約束は、中国とイギリスが署名し国連に提出した条約である1984年の連合声明に含まれていた。

この取り決めは明確であり、イギリスから中国への香港返還は「一国二制度」の原則に基づくという香港市民への保障は絶対的なものだった。香港は2047年までの50年間、高度な自治を有し、法の支配の下で開かれた社会に付随するすべての自由を享受し続けることになっていた。

しかし、中国の習近平国家主席は、このたび香港に対して極めて厳しい新たな国家安全法を課すことを決定した。これは、連合声明を全く無視したものであり、香港の自由を直接的に脅かしている。自由民主主義陣営は、これを傍観していてはならない。

残忍なレーニン主義が持ちこまれるようになった

1997年の返還から10年以上の間、中国は「一国二制度」に関する約束を大方守ってきた。確かに、すべてが完璧というわけではなかった。中国政府は、香港は立法会において自ら民主的な政府を確立できるという約束を守りたくないようで、定期的に香港市内の生活に干渉してきた。例えば、2003年には、国家に対する扇動などの問題に対する条例案(平和で穏健なコミュニティにおける奇妙な優先事項だが)を導入しようと試みたが、大衆の抗議に直面して断念している。

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