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検察庁法改正から見える、メディアと検察の「共犯関係」 構造的な癒着関係が国民の知る権利を歪める

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5月18日、政府と与党は、検察官の定年を延長する検察庁法改正案の今国会での成立を断念した。朝日新聞は5月19日朝刊の社説で〈多くの市民が法案の内容を理解し、SNSなどを通じて異議を表明したことが、これまで強権的な手法で政策を推し進めてきた「1強」政権にストップをかけた。その意義は大きい〉と書いたが、この評価は一面的だ。

筆者は鈴木宗男事件に連座して2002年に東京地方検察庁特別捜査部に逮捕され、東京拘置所の独房に512日間勾留された経験がある。日本の法制度では、被疑者を起訴するか否かの判断は、ほぼ検察官が握っている(起訴便宜主義)。検察官が起訴しない事案に関して、検察審査会という制度が設けられている。国民によって構成される検察審査会で起訴相当の議決が2度なされると、強制的に起訴される。このように、検察官が起訴しなかった事案については、見直す制度がある。

これに対して、検察官の起訴が正当であったかどうかを見直す制度はなく、裁判の結果を待つしかない。起訴されれば、99.4%が有罪になる。もっとも筆者が起訴されたときの有罪率は99.9%だったので、当時と比べれば無罪になる可能性が少し高まった。このような絶大な権力を持つ検察が暴走した場合、それを阻止する手立ては事実上存在しない。

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