週刊東洋経済 2020年6/6号
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政府の緊急事態宣言を受け、急拡大したテレワーク。しかし、オフィスワークなど対応しやすい業務がある一方、現場仕事など対応しにくい業務もあった。左図は4月にパーソル総合研究所が集計した、テレワークを実施した企業の業界別の割合だ。情報通信(ICT)企業など対応が進んだ業種と、小売りや運輸などそうでない業種とで明暗が分かれた。

おのおのの業界は緊急事態宣言下でいかに事業活動を続けたのか。テレワークはどこまで浸透したか。改めて業界ごとの変化を振り返り、今後の働き方の形を展望する。

1. 自動車|在宅拡大も開発に課題

「移動時間80%減、接触人数85%減、会議時間30%減、資料50%減。未来への投資にリソースが割ける」。緊急事態宣言後、愛知の研修センターで勤務していたというトヨタ自動車の豊田章男社長は、5月12日のオンライン決算説明会でそう説明した。

豊田社長はオンライン説明会で、「今回の決算は新しいトヨタに生まれ変われるスタートポイント」と強調した

実際、トヨタは3月20日以降に名古屋で、同26日以降には東京で原則在宅勤務の態勢を取った。本社地域でも4月13日以降、公共交通機関の利用者は原則在宅勤務に。当面はこの施策を継続する。

トヨタは数年前から、育児などとの両立支援策の一環として在宅勤務の環境を整備してきた。希望者にはパソコンを貸与し、週2時間以上出社すればよい制度も設けた。こうした準備が奏功し、スムーズな移行ができたという。

だが、オフィス業務のリモート移行ができても、自動車各社にとって工場の作業のリモート化は難しい。コロナ感染予防のため、間隔が狭い作業場では仕切りの設置などで対応しているという。さらに課題になるのが開発部門だ。

トヨタは設計ツールなどをリモートで使用できるようにするなど対策を講じているが、完全なリモートでの開発は難しいのが現状のようだ。一部の開発に遅れが出る可能性があると説明しており、マイナーチェンジなど商品計画の一部見直しを検討しているという。