蔡英文総統が人気を維持するには中国と戦う姿勢を強調するしかない(5月20日の2期目就任式)(Taiwan Presidential Office/AFP/アフロ)

台湾が東アジア最大の火薬庫となる──。私が昨年末から書いてきた懸念が、新型コロナウイルス流行で加速している。

台湾の蔡英文政権には今アンチ中国の強い追い風が吹いている。だが熱狂は一過性だ。いずれ2018年末の統一地方選で大敗をもたらした現実に戻らざるをえない。

現在の民進党政権が支持率を維持したければ“全体主義国家”の中国と戦う姿勢を強調し続けるしかない。台湾の政治的ニーズは、コロナ禍で対中感情を悪化させるトランプ米政権の思惑と相性ピッタリだ。ワシントンには伝統的な対中不信もある。

そんな米台の動きに神経をとがらせてきた中国は4月中旬、ついに一線を越えた。ポンペオ米国務長官との電話会談の中で、楊 潔篪(けつち)国務委員は「政治屋」という言葉でトランプ政権の閣僚を批判。同27日からポンペオ氏をメディアが名指しで攻撃。日本では世界保健機関(WHO)の総会を控えて、ほとんどのメディアが「中国が影響力を行使し台湾を排除」と書いた。

私はかつて、台湾がWHOから排除されていることには同情的であった。だが台湾の政権がWHO問題を内政の延長として中国との争いの具にするのであれば、日本は距離を置くべきだと考える。