JDI「不正会計」の晴れぬ闇 “臭いものに蓋"で終わるのか

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第三者委員会報告書はA氏個人に責任を押し付け、経営陣やINCJの責任に踏み込めなかった。

JDIの菊岡社長(写真)ら新・旧経営陣の責任は問われなかった(撮影:今井康一)

「第三者委員会の調査が隠れみの、免罪符のように扱われている典型例だ」。コーポレートガバナンスに詳しい久保利英明弁護士は、こう憤る。

中小型液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)は4月13日、不正会計疑惑について第三者委員会調査報告書を公表した。

下の図を見てほしい。JDIが売上高や利益を不正にカサ上げした「不適切会計処理」(報告書からの引用を除き、本記事では不正会計と記す)は、「誤謬」としたものも含めて約525億円。同社は報告書発表と併せて、2014年3月期から6年半にわたる決算修正も行った。

こうした数字を見る限り、高く評価されてもいいように思える。しかし、有志の弁護士や大学教授などで組織する「第三者委員会報告書格付け委員会」(久保利委員長)では、評価した8人のうち7人がF(不合格)、1人がDをつけた。

なぜ評判が悪いのか。報告書の詳細を見ていこう。

歪んだ正義感?

JDIの不正会計疑惑が浮上したのは19年11月26日のこと。元経理・管理統括部長(A氏)から、過去に経営陣の指示により不正会計を行っていたという通知があったのだ。

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