週刊東洋経済 2020年6/6号
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慣れない環境に四苦八苦している人も多いテレワーク。最適解を見つけるには、それぞれの道を極めた“達人”たちのノウハウが役立ちそうだ。

瀬戸内海に浮かぶ、愛媛県・大三島(おおみしま)。ミカン畑が広がり、「サイクリストの聖地」として国内外の観光客から人気のスポットでもあるこの島で、東京に本社を置くfreee(フリー)のエンジニアとしてテレワーク生活を送っているのが増田茂樹さん(36)だ。

freee・増田茂樹さん(36)愛媛県の大三島で暮らす増田さん。毎朝、愛犬との散歩中に1日の作業計画を立てる

増田さんが大三島に移住したのは前職時代の2016年。夫婦の理想とする田舎暮らしを実現するのが目的だった。当時は夫婦で同じ大阪のIT企業に勤めていたが、同僚や上司、役員に理解を求めながら徐々にテレワーク中心の生活に移行し、増田さんの祖父母が暮らすこの島に移り住んだ。

その後、フリーに勤めていた元同僚から誘われて転職。現在も籍を置く関西支社(大阪)でのプレ採用期間中に実力を発揮し、正式採用と同時に大三島でのテレワークを認めてもらった。副業で民宿を経営したり、趣味の魚釣りに出かけたりと、エンジニアの仕事以外の面でも充実した日々を過ごす。

クラウド会計ソフトを手がけるフリー。基本的にチームで仕事をする同社のエンジニアが完全テレワークを行うのは容易ではないが、増田さんは「時間管理の徹底と、メンバー間の信頼関係の醸成が最も重要」とそのコツを話す。

毎日必ず開くのがチームの朝会だ。仕事の進捗や困り事を共有するもので、11時からの15分間、ビデオ会議を行う。当初は1時間近くかかることもあったが、事前に要旨を文書で共有したり、タイマーを設定したりして、時間内に収めるようにした。競争の激しいITサービスの開発現場は、評価体系もアウトプット重視。自分の日々の成果を皆に簡潔に示すことは、信頼に直結する。