オフィスの担う機能が再定義されそうだ(写真はオリックスが運営するシェアオフィス)

企業が検討していたオフィス移転・拡張の中止や延期、業績の落ち込んだテナントの解約、空室期間の長期化……。賃貸オフィス市場でも、新型コロナウイルス感染拡大の話題で持ちきりだ。

足元では、体力の乏しいスタートアップ企業などからすでに退去の申し込みが出され始めている。オフィスビルの退去は6カ月前通告が通例で、早ければ秋口にも影響が顕在化するとみられる。オフィスビル総合研究所は、2020年1〜3月時点で0.6%だった空室率が、23年1〜3月には5.1%まで悪化すると予測する。

オフィスビルを保有する不動産会社では、すでにコロナの影響を織り込む動きも出ている。J-REIT(不動産投資信託)で最大手のジャパンリアルエステイト投資法人は、5月15日に20年度の業績予想を発表。3月末時点で99.7%を誇った保有ビルの入居率が、9月末までに1%悪化、21年3月末までにさらに1%悪化すると見込んだ。

コロナ禍でのオフィス賃貸は、短期的な影響にとどまらないとの見方がある。パーソル総合研究所によれば、緊急事態宣言後にテレワークを実施した企業は東京都内で49%にも達した。日本総合研究所の室元翔太研究員は、「テレワーク化でオフィス需要が大幅に減る」と指摘。全就業者の1割がテレワークに切り替えた場合、都心部のオフィス空室率は15%近くにまで上昇すると予測している。

その萌芽は見られる。オフィス移転支援のヒトカラメディアの田久保博樹取締役は、「在宅勤務の普及によって出社しなくてもこなせる業務があることに気づき、借りるオフィス面積を縮小した企業がある」と話す。デジタル技術に親しむスタートアップ企業では、コロナ禍を契機にオフィスを手放し、社員全員が在宅勤務に切り替えたところもあるという。