5月27日、フロリダのケネディ宇宙センター訪問後、ワシントンでエアフォースワンから降りるトランプ大統領(REUTERS/Jonathan Ernst)

2011年4月、翌年の大統領選挙への立候補を考えていたドナルド・トランプ氏は、ハワイに調査員を送った。「バラク・オバマ大統領がそこで生まれたのではなく、ケニアで生まれた」という噂の真偽を調べさせたのである。その結果によっては、オバマ氏に大統領の資格はなくなるだろうからだ。トランプ氏は、「その調査員たちが、『自分の発見した事実が信じられない』と言った」と公表した。

当時この奇妙な主張に対して、トランプ氏が異議を唱えられているという記録を見つからない。2016年の秋、すでに共和党の大統領候補であったトランプ氏は、この「バーセリズム(オバマ大統領の出生=birthに疑義を唱える主張)」というナンセンスを捨て去るように、自分のスタッフたちから説得された。トランプ氏は渋々と、そのアドバイスに従った。

さらに証拠もないのに、実はこうしたバーセリズムの出元が政敵であるヒラリー・クリントン氏なのだ、と非難した。

「解雇」という強力な武器

手短に言えば、トランプ氏には「手口」が存在する。つまり、彼は嘘つきであるばかりか、寓話作者であり、見た限りでは、自分の作り話が人の目に晒されるかどうかについては無関心のようだ。もしその作り話が晒されれば、彼は新たな気晴らしをでっちあげるので、世界は前に進むだけだ。

トランプ政権のもう一つの独特な特徴は、行政権に制限を加えることを目的とした、ガードレールを取り壊すような組織づくりだ。最近の例では、4人の監察官を解雇したことが挙げられる。監察官とはウォーターゲート事件の後、連邦政府関係機関とその職員たちの行いを、独立してチェックする機関として機能するようにつくられた官僚の一種だ。