コロナ後、個人の新しい姿はフィンランドにヒントあり ライター・翻訳者 堀内都喜子氏に聞く

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ほりうち・ときこ 1974年生まれ。大東文化大学国際関係学部在学中、中国に1年間留学。同大卒業後、日本語教師などを経て、フィンランド・ユヴァスキュラ大学大学院で異文化コミュニケーションの修士号を取得。フィンランド系大手製紙機械メーカー勤務を経て、2013年からフィンランド大使館で広報の業務に携わる。前著に『フィンランド 豊かさのメソッド』。
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いかに快適な空間を作るか、立って仕事する人も多い、会うことを重要視しない、ボスがいない働き方、会社が趣味やスポーツを支援、1年は11カ月と割り切る、2人に1人は転職の際に新たな専門や学位を得ている……。小見出し一つひとつが興味深い。私たちがコロナ後の新しい社会や個人のあり方を探るとき、この1冊は多くのヒントをくれそうだ。

高い生産性に十分な休養、働きやすさの追求を最優先

──働いた後は頭を切り替え、プライベートの時間はそれぞれの目的のため大事に使う、というのがフィンランド人のスタイルですね。

発端は1996年の法律で、個々が柔軟に働けるよう大きく舵を切りました。今年1月さらに改正され、就労時間の最低半分は働く場所・時間を従業員が自由に決め、残業時間の休日振り替え幅も拡大された。でも、すでに自由な働き方はできていたので、国民の反応は「ふーん、そう」程度。

──なぜそれほど政府は積極的?

生産性を高めるためには、より心地よく働ける環境整備が必須だから。自国のワーキングカルチャーを欧州1位にとどまらず、世界1位にしたい。その魅力で外から才能ある人・有能な人を呼び込みたいし、もちろん自国民の生産性も高めていきたい。今回はまだ浸透しきれていない層にリーチすべく、改正したという感じでしょう。

国の研究機関が「組織のあり方は場所や集団よりも、“個”により焦点を当てたものになっていく」と報告しています。人口550万人の小国が世界でやっていくには、一人ひとりに能力を最大限発揮してもらわないといけない。そのための柔軟な働き方であり、個々の能力をどう発揮させるかなんです。在宅勤務は週1度以上の人が3割、ホワイトカラーの管理職に限れば6割に達しています。

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