農業での国際市場参入、途上国の貧困改善に効果 発注者と現地生産者の長期的な関係構築が課題

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世界銀行は2030年までに2つの目標を設定している。1つ目は、1日当たり1.90ドル以下で生活している人々の割合を3%以下にするという、極度の貧困の撲滅。2つ目は、各国の所得下位40%の人々の所得を引き上げ、繁栄の共有を促すことである。

この2つの目標を達成するために世界銀行は教育、保健、インフラ、金融・民間セクター開発などの幅広い手段に着目し、これらが改善されるように途上国へ低利貸し付けや無利子融資、贈与を提供してきた。加えて近年は、「グローバル・バリュー・チェーン(GVC)」に基づく貿易による開発促進に注力している。

GVCとは国際分業の一形態だ。生産プロセスを工程・タスク単位で分割し、国境を超えて異なる地域に生産ネットワークを分散させる試みである。GVCに参画する企業は、質の高い製品を提供するために技術革新を行い、生産性を向上させる。

世界銀行の報告によると、15年になされた全世界の貿易の50%以上がGVCに関係していた。GVC内で発注者と請負者が長期的な関係を結ぶことができれば、安定した需要と収入を得られる可能性が高い。途上国の中小企業がGVCに参入すると経済発展や雇用拡大などが起こり、貧困の削減につながる可能性が高いと考えられている。

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