あたか・かずと 1968年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て2008年からヤフー、12年から同社CSO。慶応大学環境情報学部教授。米イェール大学脳神経科学Ph.D.。データサイエンティスト協会理事。数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度検討会副座長などを歴任。(撮影:尾形文繁)

データとAI(人工知能)との掛け合わせが価値を生む社会の到来を前に、日本再生のための提言で話題を呼んでいる『シン・ニホン』(NewsPicksパブリッシング)。慶応大学教授で、ヤフーのCSO(最高戦略責任者)を務める著者の安宅和人氏は、教育モデルの抜本的な刷新こそが変革のカギを握ると指摘する。これからの大学教育は、いったいどうあるべきなのか。

──現在の大学教育の問題点は、どこにありますか。

本能のままに生きる状態から人間にするのが初等教育、人間を社会性のある大人にするのが中等教育だとしたら、大学が担う高等教育の目的は、自律的に考え、物を生み出せる人間をつくることだろう。本来は、人を自由にするための学問として「リベラルアーツ教育」があるはずだが、日本では誤解され、違う方向に行っている。

その結果、これまでの日本の高等教育から生み出されたのは「与えられた役割をこなすマシン」のような人材だった。本来の教育目的とはまるで違う。それでも過去100年は、結果的にこの教育が機能した。日々の改良が重要な大量生産型の社会では、部品としての役割を全うするマシン型の人材が、重要な役割を果たすことができたからだ。

だが、これからはそうもいかない。AIやロボティクス技術により、機械による自動化が飛躍的に進んでいき、マシン的な業務が廃れていく中で、こうした人材の価値は急減していく。

──とすると、今後育成すべきはどんな人材でしょう。