大正大学地域創生学部教授 小峰隆夫(こみね・たかお)1947年生まれ。東京大学卒業。経済企画庁経済研究所長、物価局長、調査局長、国土交通省国土計画局長などを経て、2017年4月から現職。日本経済研究センター理事・研究顧問も務める。著書に『人口負荷社会』『日本経済論の罪と罰』『政権交代の経済学』など。(撮影:尾形文繁)

先行きの見えないコロナ危機でこそ、ロジックとデータに裏付けられた冷静な議論が必要だ。経済データを扱う者として、コロナ関連で登場するデータについて、いくつか疑問がある。

1つは、頻繁に登場する指標が、必ずしも感染症の現状を的確に伝えていないことだ。ニュースを見ると、「本日の新たな感染者数は〇人(新規感染者数)。全国の合計は△人となりました(累積感染者数)」と繰り返し報道されていた。これらは重要な指標ではあるが、評価の指標としては限界がある。新規感染者数は、日々の変動がかなり大きいし、PCR検査の実施数にも依存するので、統計の漏れも大きそうだ。

累積感染者数はストック変数だが、日々の感染者数を足し上げたものであり一方的に増え続けるしかない。毎日これを報道されると、聞いているほうが暗い気持ちになる。そもそもこのストック変数は何を示す指標なのかも不明瞭だ。