シンガポールで活躍する無人ロボット。この種のロボットは「人間の営み」を強化するロボットといえるのだが・・・(写真: REUTERS/Edgar Su)

ノーベル賞受賞者のアマルティア・センは「人間の営み(human agency)」を「自身が重要と考える目標や価値を設定し、自由にそれを行ったり達成したりできるもの」であるとした。

人工知能(AI)やロボットへの懸念が高まっている時代にあって、新型コロナウイルスの示したことは、明白だ。AIやロボットが自ら経済をけん引することなどできない。経済活動を進めるにあたって、人間の営みに代わるものは存在しないことをはっきりと思い起こさせた。

多くの人たちは、新型コロナウイルスパンデミックが自動化をさらに促進するかもしれないと考える。なぜなら、今回の危機は人間の弱点を浮き彫りにした。労働者の保護、労働者が享受する福利(病気休暇など)の向上が求められるようになるだろう。そのため、ロボットに対する投資への気運が多くの業界で高まるというわけだ。

ロボットがあっても工場は止まる

しかし、十分な数のロボットがあれば、ロックダウン(都市封鎖)が引き起こした景気後退から経済を救ったということはできない。サプライチェーンの多くはすでに高度に自動化されているにもかかわらず崩壊してしまった。ロボットによって操業している製造工場も、人間を配置した工場と同様、閉鎖されている。ロボットの普及がもっとも進んだ国(中国、ドイツ、日本、韓国、米国)におけるもっともロボット化の進んだ産業であっても、たとえば日産、ホンダではレイオフが行われている。