浅田次郎の『天国までの百マイル』という小説がある。1998年刊行、2000年には時任三郎主演で映画化もされた。主人公の城戸安男は、バブル崩壊で経営していた不動産会社が破綻し、自己破産の身となる。妻子とも別れ失意の安男に、さらに母の重い心臓病という試練が降りかかる。安男にできるのは南房総のとある病院にいるという、天才心臓外科医のもとに母を連れていくことだった。オンボロのワゴン車に病身の母を乗せ、都内の大学病院から南房総の病院を目指して100マイル(約160キロメートル)の旅に出る。

この小説の病院のモデルとなったのが、千葉県鴨川市にある亀田総合病院だ。48年に設立され、その後業容を拡大。85年には救命救急病院に指定された千葉県南部の中核病院だ。外部から積極的に医師をスカウトする先進的な病院として有名で、現在診療科は34科、病床数は900を超える。広大な敷地に8棟の建物群で構成され、とくに、05年4月に竣工したKタワーは13階建てで250以上ある病室はすべて個室。1室当たり21平方メートルもある病室からは太平洋を一望できる。外観も病院のイメージとは懸け離れており、まるでカリフォルニアのリゾートにある瀟洒(しょうしゃ)なホテルのようだ。