企業などの組織は、分業化されたタスクを複数人でうまく調整・統合することで、財やサービスを生み出している。その円滑な運営には、メンバー間のコミュニケーションが必要不可欠だ。一口にコミュニケーションといってもその機能は多様なため、ここでは最も素朴な「情報を伝える」という役割に注目する。

組織内での適切な情報伝達は、組織がアウトプットを生み出すプロセス(組織的意思決定プロセス)にとって重要だ。新製品の開発コスト、潜在的な需要、メンバーの能力、技術開発の成功見込みなど、事業のアウトプットを決定づけるような情報をCEO(最高経営責任者)がすべて知っているとは考えにくい。

こうした情報は、意思決定を行う組織の責任者が選択肢を評価し、最終決定を下すうえで欠かせないものである。そのため、これらの情報は組織内で「伝えられるのが当然である」と思うかもしれない。しかし、組織のメンバーが責任者に何を伝えるかは、極めて戦略的に決められている可能性がある。

情報を保有する立場からすると、何を伝えるかは組織の意思決定だけでなく、組織内での自分のタスクや立場、さらには今後のキャリアにも影響を与えると考えられる。その場合には、持っている情報を包み隠さず伝えるとは限らない。

正確な報告を避ける?