すずき・こういち 1946年横浜市出身。71年早稲田大学文学部卒。72年日本能率協会入社。92年IIJを設立。2013年から現職。「東京・春・音楽祭」実行委員長としてクラシック音楽の振興にも注力。(撮影:梅谷秀司)

IIJ創業者で、黎明期からインターネット技術に通暁している鈴木幸一氏。同氏はクラシック音楽をこよなく愛し、日本を代表する音楽イベントに育った「東京・春・音楽祭」の主催者としても知られる。コロナショックで文化・芸術はどうなるのか。企業経営はどう変わるのか。率直な思いを聞いた。

──3〜4月に上野で開催する「東京・春・音楽祭」。16年目の今回はほぼすべての公演がキャンセルとなりました。かなり大きな損失になるのでは。

企画、交渉に長い時間をかけてきたので、寂しく感じている。今回、東京五輪のための特別公演として実現に合意していたベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による無料の野外コンサート(6月)も、中止を決めた。

ご指摘のとおり、すでに準備に向けた出費はしている。公演中止でチケット収入がなくなることは経営面では大打撃だ。私の場合、「道楽」だと公言していて、泣き言は言えないが、それにしても赤字幅は大きい。

今回は補償なき自粛によって、音楽をはじめ、バレエなどあらゆる舞台芸術の公演が中止に追い込まれた。欧米など、「芸術は受け継がれていくべき最も大切な文化資産」という認識がコンセンサスとなっている国々では、国や自治体が、芸術家に対して素早く給付金などの援助を行っている。しかし、日本では救済はなきに等しい。そこを何とかしないと、事あるごとに、芸術に関わる大切な人々の生活が奪われることになる。