紙を電子が逆転──。昨年、国内のコミック市場で初めて、電子コミックの販売金額が紙媒体のそれ(単行本と漫画雑誌の合計)を上回った。これまで新刊は紙の単行本の販売額が大きく、電子コミックは既刊中心だったが、「新刊、既刊を問わず、電子コミックの販売が増えている」(出版科学研究所の水野敦史研究員)。

電子コミック市場の拡大に貢献するのが、さまざまな出版社の作品を扱う総合電子書店型の漫画アプリだ。IT系の『LINEマンガ』や『ピッコマ』などが代表的な存在で、一部を無料公開して集客し、既刊作品を中心に単行本や1話単位で販売している。

出版社にとって、こうした漫画アプリは自社の電子コミックを販売してくれる重要な販路。ただし、新しい作品の発表の場となる紙の漫画誌の部数が減り、ユーザーとの接点がデジタルに切り替わる中、「有力な漫画アプリがオリジナル作品や新人作家育成に力を入れ始めたら、出版社の存在感が低下しかねない」と危惧する声も出ている。