クラシックの新たな可能性を開拓し続けるクルレンツィス。次の来日公演の実現が待ち遠しい(©Julia Wesely)

この春最大の注目公演として期待されていたテオドール・クルレンツィス指揮のムジカエテルナ公演が、新型コロナウイルスの影響によって残念ながら中止となった。4月13、14日に予定されていた東京公演のチケットがわずか10分で売り切れたというすさまじい人気ぶりが、この公演への注目度を何より雄弁に物語っている。

その布石は昨年2月に行われた来日公演だ。日本初上陸を果たしたクルレンツィスとムジカエテルナの圧倒的なパフォーマンスは、予想をはるかに超えるすばらしさだったのだ。何よりその個性的な演奏が、保守的なクラシック界に強烈なインパクトを与えた。一例を挙げれば、オーケストラのほぼ全員を立たせて演奏したチャイコフスキーの交響曲第6番『悲愴』など、うわべだけのパフォーマンスにとどまらない音楽のすごみと、クラシックの新たな可能性を感じさせるステージは、耳の肥えたクラシックファンのみならず、一般の人々をも熱狂させる力を持っていたのだからすばらしい。