バブル崩壊後、 日本型マネジメントの問題点が指摘されるようになって久しい。年功的である、給与が上がらない、雇用調整が難しいなどといったこれらの指摘は現在の社会状況にも当てはまるのだろうか。

とくに報酬に関する問題に着目してデータを読み解きながら、次に挙げる2つの日本型雇用の疑問を検証してみる。1つ目の問いは、「日本企業は本当に年功的なのか?」。2つ目は「日本企業の報酬は本当に低いのか?」だ。

分析には、筆者らのマーサージャパンが保有する「総報酬サーベイ(TRS)」および、厚生労働省が出している「賃金構造基本統計調査(賃金センサス)」のデータを使用する。TRSは、国内において民間企業が実施している詳細で精度の高い報酬調査としては、最大級の規模を誇る。

まず1つ目の問いを検証するため、TRSを利用して日本と英国、ドイツ、シンガポールの年齢別(5歳刻み)報酬データを比較した。日本では50代後半に至るまで、年齢と比例して年収が上がる。一方、英国、ドイツ、シンガポールでは、45歳から上の平均年収はあまり増えない。場合によっては、年齢が上がるとともに若干下がり、大きく見るとフラットという傾向がある。

例えば、40代前半から後半、40代後半から50代前半、50代前半から後半の報酬の増減率を見てみよう。日本はそれぞれ、12%、14%、10%。英国は6%、マイナス3%、マイナス1%となる。ドイツ、シンガポールも英国とおおむね似た傾向であり、日本は年齢比例的であることがわかる。