移民排斥がコロナ危機で深刻化する必然 1940年代からの国際秩序の悲しい幕引き

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米国からメキシコへと強制送還された不法移民たち(REUTERS/Jose Luis Gonzalez)

新型コロナウイルスとの戦いが続いている。このパンデミックによって世界はどう変わるのか。現在、国際秩序のあり方を巡って2つの異なる物語が語られている。そして、その2つの物語が主導権争いを演じている。

1つ目はシンプルな物語だ。今回の世界的な健康危機によって多国間主義の必要性がより明確になり、独善的ナショナリズムや孤立主義は誤りであることを暴露したという見解。2つ目の物語は、その逆。グローバリゼーションと国境の開放によって、国家はウイルスやその他の脅威に対して脆弱になってしまった。必要な物資を確保するためには他国に頼らず自国で対応しなければならないという見解だ。

第1の見解を支持する人々は、パンデミックが起こっているからこそ、各国は共通の脅威を乗り越えるために協力しなければならないとする。第2の見解を支持する人々は、パンデミックに対応するためには離れている方が安全だということを証拠として示す。

第1の物語=国際協力の進展

一見したところ、新型コロナは、より協調的な国際的アプローチの必要性を裏付けているように思える。国境がウイルスを止めることができないことを考えると、対応も国境によって分断すべきでないのは当然だ。

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