ヨーロッパが短期でコロナ危機を克服できる理由 2008年の危機とは性質がまったく違う

✎ 1〜 ✎ 514 ✎ 515 ✎ 516 ✎ 最新
拡大
縮小
ニューヨーク市クイーンズ区のフラッシング・メドウズ・コロナ・パークにあるランドマーク「ユニスフィア」。4月25日撮影(写真:EUTERS/Andrew Kelly/File Photo)

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、EU加盟国は苦境に立たされている。とはいえ、マクロ経済の観点から見ると、ヨーロッパの経済政策対応はこれまでのところ望みを与えてくれるものとなっている。持続的な成長、地域の結束、経済の安定に向けた、強い刺激策が含まれているからだ。

ヨーロッパでは各国政府は、この危機に対応した前例のない財政措置を講じることを約束している。そして、これと同じくらい重要なこととして、市場もこれらの財政措置を適切なものと捉えているようだ。ポルトガルとイタリアによる最近のソブリン債売り出しでは、金利が低く抑えられ、おおむね応募超過であった。

過去の危機のような混乱は起きていない

ヨーロッパ全体でみても、ソブリン債利回りは2019年末と同水準にある。ヨーロッパの特定国の債券においてスプレッドやクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の価格設定が拡大したものの、世界金融危機など、以前の危機と同じようなレベルではない。言い換えると、ヨーロッパの経済市場の分断は2009年や2012年の危機よりもはるかに抑え込まれている。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内