仏パリ経済学校教授 ダニエル・コーエン/Daniel Cohen 1953年チュニジア生まれ。エリート校であるパリ高等師範学校の経済学部長。2006年にはトマ・ピケティらとパリ経済学校を設立し、教授に。専門は国家債務。著書に『経済成長という呪い』など多数。(Gamma-Rapho/アフロ)

欧州を代表する経済学者、思想家であるダニエル・コーエン氏。今回のコロナ危機をきっかけに、資本主義の構造が大きく変わると警告する(インタビューは書面で行った)

──新型コロナウイルスによる世界の混乱をどう見ていますか。

現代社会は新型コロナウイルス危機によって一変した。当初、この危機は2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の再来といわれた(SARS危機も中国発だった)。774人の死者を出したSARS危機により、世界の経済成長率は0.2%ポイントから0.3%ポイント低下した。だが今回のコロナ危機による影響はSARS危機をはるかに上回る。

中国のGDP(国内総生産)はSARS危機時と比べて8倍になり、国際貿易全体に占める割合は20%にまで増加していた。米国のドナルド・トランプ大統領が呼ぶところのこの「中国ウイルス」により、多くの産業が中国に依存していることが明らかになった。

今回のパンデミックにより、1980年代初頭の鄧小平の改革と、89年のベルリンの壁崩壊から始まった経済サイクルは途切れ、グローバリゼーションは勢いを失うだろう。もっとも、トランプ大統領が中国に貿易戦争を仕掛けたこともあり、中国は米国への依存を減らすべきだと考えていた。

──2008年の金融危機(リーマンショック)と比べ、影響の大きさはどのように見ていますか。