イオンモールとイオンリテールは3月、4月の固定賃料の減額を決定。商業施設の苦境を象徴する動きだ

「商業施設やホテルで、テナントからの賃料減額要請が相次いでいる」。大手デベロッパーの幹部はそう口にして焦りを募らせる。新型コロナウイルスの影響がいよいよ賃貸不動産にも影響を及ぼし始めた。既存物件のみならず、開発中の物件でも、入居予定だったテナントが出店を見送る事態が起きているという。

賃料は一般的に、テナントの売上高に連動する変動賃料と、売上高にかかわらず毎月一定の金額を支払う固定賃料との2種類がある。足元では食品スーパーやドラッグストアが堅調な一方で、外食を筆頭にそれ以外のテナントでは売り上げが急減している。実際、首都圏を中心に展開するある外食チェーンは固定賃料の減免交渉を進めている。「(店舗が入居するビルを保有する不動産会社に)固定賃料の2割減額をお願いしているが、実現した店舗は少ない。臨時休業の影響も大きいので、さらに踏み込んだ減額の交渉を行いたい」と言う。

イオンモールとイオンリテールは4月2日、テナントが支払う3月および4月分の賃料について、固定賃料に当たる部分の金額を減らすことを発表した。13日には、イトーヨーカ堂が3月分のテナント賃料を減免すると明らかにした。JR東日本傘下で首都圏を軸に駅ビル42拠点を運営する「アトレ」では、「4月分の固定賃料について、見直しも含めて検討を行っている」という。

首都圏で多数の店舗を展開する大手商業施設の判断は、不動産業界にも一定の影響を与えそうだ。「どこも他社の動向を見ながら賃料減額の対応を決めている。アトレが動いたことで、ほかのデベロッパーも呼応していく可能性が高いだろう」(別の大手デベロッパーの商業施設開発担当者)。三菱地所は丸ビルおよび新丸ビルに入居する商業店舗について、賃料の支払い猶予などの検討を始めた。