世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか(マルクス・ガブリエル 著/大野和基 訳/PHP新書/960円+税/230ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] Markus Gabriel 1980年生まれ。史上最年少の29歳で、200年以上の伝統を誇る独ボン大学の哲学科・正教授に。西洋哲学の伝統に根差しつつ、「新しい実在論」を提唱して世界的に注目される。NHK Eテレ「欲望の時代の哲学」などへの出演も話題に。

現代社会において、ポストモダニズムからポストトゥルース(ポスト真実)が広がり、それがトランプ米大統領誕生やブレグジットに見られるポピュリズムの台頭につながっている。哲学界の若き天才マルクス・ガブリエルの「新実在論」は、こうした閉塞感を打ち破る、新しい哲学である。

新実在論の新しさは、現実は物理的な対象だけではなく、それに関する見方、心情、信念、思想、空想といった、あらゆる意味の場に現れるとする、存在の複数性、同時性、同等性にある。

これが、新実在論の第1の特徴である「世界は存在しない」、すなわち、あらゆる物事を包摂するような「単一の現実」は存在しないということの、存在論的な意味である。