埼玉りそな銀行が全営業店に設置した資金繰り相談窓口。大宮支店などでは土日・祝日も対応する

「銀行の存在意義が試されている。銀行員である自分の仕事によって破綻が決まってしまう取引先が何社もある」。そう語るのは、大手銀行で中小企業向け融資を担当している行員だ。コロナショックにより危機的状況に陥っている取引先とのやり取りで、緊張した日々が続く。

営業自粛などを求められ、多くの企業の資金繰りが悪化している。倒産ラッシュにつながらないようにするため、金融機関は政府や自治体から資金繰り支援を強く求められている。4月8日には安倍晋三首相が金融機関のトップを集め、支援の実行や手続きの迅速化などを要請した。

金融庁も3月初旬に要請を出し、取引先からの返済期限延長などの条件変更について相談に応じるよう求めた。条件変更の申込件数や実際に条件変更に応じた件数は金融庁に報告しなければならない。リーマンショック後の2009年から13年まで続いた中小企業金融円滑化法とほぼ同じ枠組みを復活させた形だ。3月末には、実際に金融機関が対応した事例集を公表するなど、金融機関に対するプレッシャーを強めている。

実際に企業の資金需要は増加の一途をたどっている。「4月7日の緊急事態宣言以降、相談の件数が劇的に増えた」(信用金庫幹部)という。とくに危機感が強いのは東京の中小企業だ。「飲食業や小売業はもちろん、最近は製造業や卸売業の相談も増えている」(都内に支店のある地方銀行の行員)と、幅広い業種で資金の不足感が高まっている。