緊急事態宣言後の記者会見で質問を聞く安倍晋三首相(右)(時事)

4月7日、安倍晋三首相は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて緊急事態宣言を発した。2月27日に突然、小・中学校などの「一斉休校」を要請してから1カ月余りが経過した時点であった。

この「一斉休校」は、専門家の助言も政権のチーム全体の了解もないまま、一部の秘書官の助言を受け入れた首相が決断したものであった。多くの混乱を招き、批判の声はすさまじかったが、おずおずとではあれ、企業がリモートワークを始めるなど、結果として働き方にも変化が表れ始めた。

7日の首相の記者会見は、迫り来る危機に日本政府がどう向き合うかが試される場であった。諸外国の首脳が「ロックダウン(都市封鎖)」を発令する際の談話は、すでにインターネットを通じて動画で縦横無尽に比較することが可能であった。ドイツのメルケル首相、英国のジョンソン首相、シンガポールのリー・シェンロン首相などの演説を見ると、「日本のリーダーは」と誰もが思うところである。

安倍氏自身は2月の一斉休校の記者会見で、原稿読み上げのありきたりの内容説明に終始した。記者の質問にも手元のペーパーで答えるにとどまり、なぜ全国一斉休校かという問いにも、ただ政治決断だったと述べるのみだった。それ自体が大きな不満を招いた。

そもそもこの政権は、横浜でのクルーズ船の対応に手をこまねき、国内で感染者が増える中、2月14日にようやく専門家会議を立ち上げるなど、専門的知見の軽視が続いていた。その教訓からか、今回の会見に際して首相は、事前に宣言発出の是非を新型インフルエンザ等対策有識者会議の基本的対処方針等諮問委員会に諮問し、会見では尾身茂会長を同席させた。これは、専門家軽視を転換する姿勢をアピールするものであった。