富士通アドバイザー 早川英男(はやかわ・ひでお)1954年生まれ、愛知県出身。東京大学経済学部卒。米プリンストン大学経済学大学院にて修士号取得。77年日本銀行に入行後、長年にわたって主に経済調査に携わる。調査統計局長、名古屋支店長、理事などを歴任し、2013年4月から現職。著書に『金融政策の「誤解」』。(撮影:梅谷秀司)

世界は今、新型コロナウイルスとの戦いの渦中にある。共通の敵の存在は当然、各国に国際協調を求めることになる。しかし、具体的にはどのような国際協調が必要となるのだろうか。

リーマンショックの際に直面したのは、標準的な経済政策の国際協調という問題だった。金融政策は自国通貨安を通じて近隣窮乏化につながりやすい一方、財政政策は効果が他国に流出するため、世界同時的な財政出動が求められたのである。現実には量的金融緩和政策などが通貨安競争を招くといった面もあったが、協調的な財政出動は確かに実現した。その最大のものが、中国の「4兆元対策」だったことは言うまでもない。

同じロジックは、基本的にはコロナショックにも当てはまるはずだが、自粛や外出制限などで経済活動自体が抑え込まれている現状、総需要政策はあまり効果を発揮できない。財政政策の国際協調は、コロナ感染抑制に成功した後の課題になる。しかも、どれだけ財政出動が必要かは、その間の経済活動の落ち込み次第だ。したがって感染終息までの時間の長さに大きく依存するから、「規模ありき」の発想には疑問が残る。