栗原心愛ちゃん(10)が亡くなった千葉県野田市のマンション。両親と妹と暮らしていた(朝日新聞社/時事通信フォト)

2020年3月9日、千葉地方裁判所201号法廷。少し伸びた丸刈りの頭に眼鏡、黒の背広に青いネクタイ姿の被告・栗原勇一郎(42)は、証言台の前できまじめな表情で次のように言った。

「みーちゃん、本当につらい思いをさせてごめんなさい。謝っても謝りきれません(略)。家族にとっても私にとっても、よいことも悪いこともありのままにお話しさせていただきました(略)。日常的にDV(家庭内暴力)はまったくありません。私が支配的立場にあり、家族が逆らうことができなかったということはまったくありません」

児童虐待とDVをめぐる10日間の審理では検察側から虐待を裏付ける映像などが提出された。そのうえでのこの発言は、彼に何の利益ももたらさない。しかし、被告はそう言わないではいられないのだ。法廷でも、現実を直視していない。そんなふうに感じた。

19年1月に千葉県野田市で亡くなった栗原心愛(みあ)ちゃん(当時10)事件の裁判員裁判を傍聴した。

実父である勇一郎の携帯電話やPCに残されていた画像や動画が証拠として流された。傍聴席では音声のみだったが、大泣きをしたり、スクワットをさせられたり、便を持たされたりしている心愛ちゃんの痛ましい様子が裁判員に示された。