元経営者が現経営陣への批判を強め、筆頭株主が敵対的TOBを仕掛ける。あるいは突如として親会社が取締役の交代を迫る──。理がどちらにあるかは案件ごとに異なるが、間違いなく言えるのは、株主とのコミュニケーションがこれまで以上に重要になっているということだ。

資生堂|大物OB株主がダメ出し、辣腕プロ経営者の正念場

資生堂は店頭で販売員が丁寧に説明する対面販売を大胆に合理化。これを不満に思うOB株主もいる(撮影:今井康一)

「資生堂はインバウンド需要を取り込むことに成功した一方で、既存客を軽視している。その反動が心配だ」。資生堂の元幹部役員で、株主でもあるX氏はこう訴える。

別のOBのY氏も、「資生堂は顧客に丁寧に説明する対面販売で成長してきた。そこを軽視して、EC(ネット通販)やコンビニエンスストアなど、説明販売ができない販路をやみくもに拡大しては危険だ」と、魚谷雅彦社長の経営戦略への懸念を示す。

両OBとも、かつての経営幹部だ。「魚谷社長はリピート客、固定客を軽視している。流行を追うマーケティングは上手だが、それによって得られる売り上げは、他社に簡単に奪われてしまう」(Y氏)。「魚谷社長は化粧品ビジネスについては門外漢。昨年、高級ブランドを廃止する際も、販売店側に通知書を送っただけ。『説明もなく、突然すぎる』と、店舗側は怒り心頭だった」(X氏)。

X氏は2019年まで株主総会に毎回出席し、挙手をして発言。販路急拡大の危険性や説明販売の重要性を訴えてきた。だが、「中身のない回答に終始し、対話にならなかった」(X氏)。前田新造前社長を通じて直接面会の場を探ったが、実現することはなかった。