理性、人道的価値観、そして息をのむような芸術的成果の象徴であり続けてきたヴェネツィアは、他の欧州の都市と同様、閑散とした場所になっている。4月5日撮影(写真:REUTERS/Manuel Silvestri/File Photo)

なんとも皮肉で、また驚くべき先見性だが、2年に1度開催される2019年の第58回ヴェネツィア・ビエンナーレ(会期は2019年5月11日~11月24日)のテーマは「数奇な時代に生きられんことを(May you live in interesting times.)」だった。中国の古い格言を翻訳したものとされるこの言葉は、危険で不確かな時代における不安定な運命を表していたのかもしれない。

そしてCOVID-19のパンデミックで世界が大きな被害に見舞われ、信頼できる国際的指導力がどこにも見あたらない今、その現実が無視できないものとなった。

ヴェネツィアという都市は、われわれ人類の創意工夫の記念碑であり続けてきた。通常ではありえないような場所にあるこの都市は、グローバリゼーションの最初の時代において、交易や商業の中心地として台頭した。つまりこの地は、リベラルな国際主義の先駆的存在といえる。理性、人道的価値観、そして息をのむような芸術的成果の象徴であり続けてきた。