新型コロナウイルスの感染が世界で拡大するに伴い、各国政府は外出規制、出入国規制などのこれまでにない予防措置を取っている。これらの規制の経済的な影響は甚大である。

3月初めに発表された予測では、今年の日本のGDPは感染がなかった場合に比べて、最悪のケースで約10%下落するという。今は状況がさらに悪化しており、それ以上の下落も十分にありうる。

兵庫県立大学の井上寛康氏と筆者の推計によると、1カ月首都封鎖をすることで、東京の生産額は9兆円減少する。しかも、東京で部品の需要も供給もなくなることで、その影響はサプライチェーンを伝わってほかの地域にも及ぶ。結果、1カ月後には全国の生産日額は以前の15%程度に落ち込み、減少額の合計は28兆円となる。

このような経済の縮小は、人命をも奪う。失業や倒産の増加は自殺を引き起こすからだ。警察庁の統計では、日本の自殺者の数は1997年の2万4391人から98年には3万2863人に急増した。その後2013年までの16年間にわたって年間3万人以上で高止まりした。とくに中高年男性の自殺者の増加が顕著だった。

これは、97年に大手銀行・証券会社の経営破綻を契機として、金融危機が発生した時期と一致する。このときの失業率は97年の3.4%から98年に4.1%、02年には5.4%まで上昇した。