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パンデミック危機が問う最高指導者の行動と責任 日本の不幸は公共的精神を軽侮する人間が最高権力者という点

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五輪の7月開催にこだわるあまり、感染の情報公開が操作されたのではという疑念は消えない(dpa/ 時事)

新型コロナウイルスが世界を震撼させている。欧米の多くの国は、国境閉鎖、外出禁止など感染拡大を防止するために徹底した手段をとっている。生命を守るためには、少なくとも一時的に、また後述する条件の下で私的自由を制約することも仕方ない。今必要なのは、政府が権力を適切に使うことであり、それを支える基盤は、政治家や行政職員の職業倫理である。

この危機の中で、アルベール・カミュの小説、『ペスト』が売れているそうだ。この小説は、突然ペストが流行し封鎖された都市の中での、医師や官吏の必死の戦いを描いた物語である。主人公のリウー医師は次のように語っている。

「今度のこと(ペストの流行)は、ヒロイズムなどという問題じゃないんです。これは誠実さの問題なんです。こんな考え方はあるいは笑われるかもしれませんが、しかしペストと戦う唯一の方法は、誠実さということです。一般にはどういうことか知りませんがね。しかし、僕の場合には、つまり自分の職務を果たすことだと心得ています」

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