慶応義塾大学経済学部教授 太田聰一(おおた・そういち)1964年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、ロンドン大学大学院修了(Ph.D)。名古屋大学大学院経済学研究科教授を経て2005年から現職。専門は労働経済学。著書に『若年者就業の経済学』、共著に『もの造りの技能─自動車産業の職場で』『労働経済学入門』など。(撮影:梅谷秀司)

今、世界中で在宅勤務の将来について関心が高まっている。新型肺炎の猖獗(しょうけつ)によって、多くの国で通常の出勤が困難な労働者が増えた。3月半ば以降には、英国、フランス、イタリアなどで国のトップが相次いで全国的な在宅勤務への移行を指示した。さらに、米ニューヨーク州でも、知事が必要不可欠な業務以外は家での仕事を命じるなど、半強制的な形での導入が行われている。

日本では、現在のところ企業の自発的な取り組みに任されているものの、在宅勤務を行う人は急増している。3月半ばにパーソル総合研究所が実施した調査によると、正社員の在宅勤務実施率は13.2%で、そのうちの約半数が初めての経験であったという。この流れが、一定の場所に集まって業務を行う従来の仕事スタイルを変えるのか、が最大の関心事だ。

日本で在宅勤務の導入が望ましい理由としては、日本における通勤時間の長さが挙げられる。総務省の統計では、有業者として主に仕事をする人の平均通勤時間(平日)は約1時間で、首都圏1都3県では1時間半近くになる。