2020年3月30日撮影。フランスのストラスブールからドイツ、あるいはスイスの病院へと重症患者を輸送するフランス軍のカイマンヘリコプター(写真:REUTERS/Christian Hartmann)

欧州の街角や広場の静けさと、病院内で見られる混乱とのあまりの違いに、胸が痛む。新型コロナウイルス(COVID-19)は欧州だけでなく国際社会全体を巻き込むことになった。このパンデミックが世界の形を変えることはすでに明らかだ。しかし、どのような形に変わるかは、今の私たちが選ぶ道に掛かっている。

COVID-19は世界共通の敵とみなさなければならない。これは戦争ではないが、「戦争時のような」資源の動員が必要だ。

しかし、このような危機に直面する中で、私たちの本能は内側、つまり自己防衛に向かう。この反応は当然といえるが、自滅へとつながる道だ。利己的で勝手な行動は、この戦いを長引かせ、人的・経済的コストをはるかに拡大させることになるだろう。この敵はわれわれにナショナリスト的な反応を引き起こしたが、欧州、そしてそれ以外の地域との国境を越えた協力なくして勝利はありえない。

今こそ国境を越えた結束が必要だ

このパンデミックに立ち向かい、最も立場の弱い、特に新興国や紛争地域の人々を支えるためには、世界共通のアプローチが必要だ。私はこの点について、最近のG7で各国の外相やその他大勢の人にも訴えた。EUはこの取り組みの一員であるべきだし、私はそうするつもりだ。

今こそ、結束が空虚な言葉ではないということを示すときだ。幸い、欧州ではすでにこれが実現している。フランスとオーストリアはイタリアに300万個以上のマスクを輸送した。ドイツはフランスやイタリアから患者を受け入れて治療している。今や各国がそれぞれ個別の決断を行う第一段階が過ぎ、EUが中心となって各国の個別政策を収束する段階に入ろうとしている。

EUとしては、必要不可欠な医療機器の共同購入、共同経済政策、そして外国で足止めされているEU市民の帰国に向けた各国領事の連携を実現するための決定を進めているところだ。 欧州理事会で行ったテレビ会議を受け、EU各国のリーダーは特に欧州危機管理システムとCOVID-19への共通対策の展開を通して、協力体制を強化することで合意した。