今年1月、広告業界に衝撃を与えるニュースが世界を駆け巡った。米グーグルのウェブブラウザー「Chrome(クローム)」において、主に広告配信に活用される「クッキー」の利用が今後2年間で段階的に禁止されるというものだ。クロームはブラウザーの世界シェアの約6割を握る。

クッキーとは、ウェブサイトを閲覧しているブラウザーを識別する文字列データ。サイトを開くと、まずサイト運営者のサーバーにクッキーが送信される。これが「ファーストパーティークッキー」だ。ユーザーがサイト閲覧後に別サイトへ移動したりブラウザーを閉じたりしても、SNSのログイン状態やネット通販の買い物かご(購入予定商品)情報を維持するといった用途がある。

サイト内に外部の広告配信業者の「タグ」が埋め込まれていれば、その業者のサーバーにもクッキーが送られる。これが「サードパーティー(第三者の)クッキー」と呼ばれ、今回グーグルがクローム上での取得を禁止するものだ。

クッキーによって、広告配信業者はネットユーザーの興味や関心、属性を分析できるようになり、「ターゲティング広告」が急成長。とくにサードパーティークッキーを活用し、ある企業サイトを一度訪問したユーザーにその企業が繰り返し広告を表示する「リターゲティング」が広がった。

ただ「広告が追いかけてくる」というユーザー側の不快感は強く、プライバシー保護の観点から問題視されるようになってきた。サードパーティークッキーを制限する動きは米アップルが先んじており、同社のブラウザー「Safari(サファリ)」では2017年以降、段階的に制限範囲を拡大。現在サファリ上では実質的に広告配信にクッキーが使えない。クロームも加われば、広告業界はいよいよクッキーに頼れなくなる。