予想された未来が、現実のものとなった。3月11日に電通が発表した2019年の国内広告業界の統計「日本の広告費」で、インターネット広告費が地上波テレビ広告費を初めて超えた。ネット広告は6年連続の2桁成長となり、2兆円の大台を突破。一方のテレビ広告は前年比2.8%減で、3年連続の減少となった。

発表元である電通は国内売上高のうちテレビ広告が最も多いが、榑谷典洋(くれたにのりひろ)副社長は「テレビだけが特別ではないので、ネット広告の躍進に特段の感想はない。8年連続で総広告費は増えており、広告の存在意義は不変だ」と説明する。

テレビとネットの最大の違いは、広告効果を詳細に算出できるかどうかだ。この点で、電通や博報堂はネット広告代理最大手・サイバーエージェントの後塵を拝した。同社広告事業本部統括の羽片一人(はかたかずと)氏は、「効果を最大化する運用がカギ。かつては徹夜作業だったリポート作成も、今ではワンクリックで完了する。(商品属性やコストに応じて)最適なメディア選定を行うなど戦略立案に集中できるようになった」と自信を見せる。

大企業が動画広告に殺到

ネット広告の黎明期は、ネット通販やゲームなど、広告主の多くがIT企業だった。だがここ数年で、消費財や食品、自動車など、「ナショナルクライアント」と呼ばれる、広告宣伝費が年間数百億円規模の企業の出稿が加速した。

「大手の予算のうち、すでにデジタルは3割ほど。業界によっては5割以上だ。広告出稿がネットのみというブランドも増えた」。ADKホールディングスの大山俊哉・最高デジタル責任者は、そう指摘する。大手広告主の1つ、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングの塚本かおりメディアマネジャーは、「テレビは今でもマスへの訴求に有効だが、それだけでは取り切れない層が増えた。今はデジタル戦略に大半の時間を割く」と話す。