民間出身の校長として公立の中学校・高校で教育改革を進めた経験を持つ藤原氏。氏の考える「よい校長、よい学校」の条件とは。(撮影:谷川真紀子)
民間企業出身者として東京都初の校長となった杉並区立和田中学校に続き、奈良市立一条高等学校でも校長を務めた藤原和博氏。校長力の重要性、よい学校の見極め方を聞いた。

真の「マネジメント」が校長に求められるスキル

――「校長力」をどう考えますか。

僕が民間出身校長として杉並区立和田中学校で派手に改革をしたのが2003~08年。その後、千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長が、定期テストや宿題廃止という改革をした。「校長が変われば学校が変わる」ということは教員出身の校長によっても証明された。

よい校長の条件は、「児童・生徒のことを第一に考えている」ではないか。和田中で一気にいろんなことを変えても教員の反発が起こらなかったのは、この視点で改革の内容を決めていたからだ。

多くの校長は、“マネジメント“をやらずに”管理”にとどまっている。管理は情報処理能力のことで、間違いがないように処理すればよいと考えている向きがある。 

藤原 和博(ふじはら かずひろ)/教育改革実践家。1955年生まれ。東京大学経済学部卒。リクルートを経て2003〜08年に杉並区立和田中学校、16~18年に奈良市立一条高等学校の校長を務める。『僕たちは14歳までに何を学んだか』など著書多数。(撮影:谷川真紀子)

より重要なのは、情報の編集能力。例えば、塾や大学生、医療機関など地域社会と一緒になって価値を生み出すことが求められる。限られた資源でも組み合わせによって価値を生み出すことができる、それがマネジメントだ。

先生だけで学校を運営するのは無理

――教員や地域ができることは何でしょうか。

僕は和田中の校長時代、地域社会の力を結集して学校を支援する「学校支援地域本部」を設立した。和田中では学生ボランティアが勉強をサポートする「土曜日寺子屋」や英語の学習を支援する「英語Sコース」、塾講師が夜の学校で教える「夜スペシャル(夜スペ)」をやっていた。夜スペ以外は現在も続いているようだ。今では「地域学校協働本部」という名前で文部科学省の政策の一部となり、1万4000校以上に普及している。