パソコン上で勤務記録を自己申告する方式にも落とし穴がある(PIXTA)

1月中旬の夜、働き方改革の先例としてメディアでもたびたび取り上げられる大手メーカーのグループ企業の一室で、3人の社員が“残業”していた。残業にもかかわらず、なぜか稼働しているパソコンは1台だけ。その理由を社員の1人はこう語る。

「親会社の方針では原則19時に退社する必要があるが、申請すれば残業が一部認められる。ただし、ログイン・ログオフで労働時間が厳格に管理される。どうしても仕上げなければならない仕事があったので同僚と相談し、1人が残業申請し、1台のパソコンを3人で使うことにした」

つまり、パソコンの稼働を1台に絞ることで、実態は3人での残業を1人に見せかけたのだ。

昨年4月、改正労働基準法第36条が施行され、時間外労働の罰則付き上限規制が大手企業に導入された。もともと1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて働かせる場合、企業は従業員と労使協定(36(サブロク)協定)を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があった。